漫画家たつき諒氏による「2025年7月5日に大地震・大津波が発生する」という予言がSNSで話題となり、多くの人が不安を感じています。この予言の真偽について、気象庁は科学的根拠がないと明確に否定していますが、香港では訪日を控える動きまで見られます。
本記事では、たつき諒氏の災害予知夢の詳細内容、専門機関による科学的見解、そして予言の真偽に関わらず大規模災害に備えるための実用的な避難場所や防災対策について詳しく解説します。予言に惑わされることなく、日本が地震大国として本当に必要な災害への備えを確認していきましょう。
記事のポイント
- 気象庁長官が「2025年7月5日地震予言はデマ」と公式否定
- たつき諒氏本人が「7月5日は何かが起きる日ではない」と軌道修正
- 南海トラフ地震の発生確率は30年以内に80%程度の現実
- 津波避難は高台・避難タワーへの迅速な移動が命を守る鍵
- 防災グッズ準備とハザードマップ確認が実際の災害対策として重要
2025年7月5日の大地震・津波予言の詳細内容と拡散の真相

2025年7月5日の大災害予言は、漫画家たつき諒氏の著書『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社)に記載された予知夢が発端となっています。この予言がどのような内容で、なぜ世界中に拡散されたのかを詳しく見ていきます。
たつき諒氏は東日本大震災を的中させたとして注目を集めた人物で、その新たな予言が国内外で大きな話題となりました。同書は電子版を含めて106万部のベストセラーとなり、特に香港では中国語版も発行され、現地の観光業界にまで影響を与える事態となっています。
たつき諒氏が見た2025年7月の災害予言の具体的内容
たつき諒氏が2021年7月5日に見たとされる予知夢の内容は非常に具体的で衝撃的なものです。同氏の著書によると「突然、日本とフィリピンの中間あたりの海底がポコンと破裂(噴火)したのです」「太平洋周辺の国に大津波が押し寄せました。その津波の高さは、東日本大震災の3倍はあろうかというほどの巨大な波です」と記述されています。
この予知夢は2021年7月5日に見たとされており、夢を見た日が現実化する日という独自の理論から「2025年7月5日」が大災害の日として特定されました。海底噴火による大津波という災害のメカニズムも含めて記載されており、その詳細さが多くの人々の不安を煽る結果となっています。予言では太平洋周辺諸国すべてに影響が及ぶとされており、国際的な関心を集める要因となりました。
4時18分という時刻の根拠と予言が拡散した背景
「2025年7月5日4時18分」という具体的な時刻設定は、SNSでの拡散過程で追加された情報です。たつき諒氏の原著では具体的な時刻は明記されておらず、この時刻設定がどこから生まれたのかは定かではありません。
予言が拡散した背景には、同氏の過去の的中例への注目があります。1999年に出版された『私が見た未来』の表紙に「大災害は2011年3月」と記載されていたことが、東日本大震災の発生後に話題となり、予言者としての信憑性が高まったとされています。SNSやインターネット上では、この4時18分という時刻とともに予言が拡散され、特に香港や台湾などの中華圏で大きな反響を呼びました。香港では有名な風水師も同様の予言をしたことで、日本への観光を控える動きが加速し、香港からの訪日客数が5月に前年同月比で減少する実害も発生しています。
過去の予知夢の的中率と信憑性の真相を解説
たつき諒氏の予知夢の的中率について客観的に検証すると、話題となった東日本大震災の予言についても詳細な検討が必要です。1999年に出版された『私が見た未来』の表紙に「大災害は2011年3月」と記載されていたのは事実ですが、これが地震を具体的に予言していたかは議論が分かれています。
同氏は夢日記として様々な内容を記録しており、その中には当たったものもあれば外れたものも含まれています。予言の的中率を正確に算出するためには、すべての予言を対象とした統計的な検証が必要ですが、そのような包括的な検証は行われていません。また、災害予言は一般的に曖昧な表現が使われることが多く、後から解釈を変更することで的中したように見せることも可能です。科学的な観点から見ると、地震や自然災害の発生は複雑な地質学的プロセスによるものであり、夢や直感によって予測できるものではないというのが専門家の一致した見解です。
作者本人による「7月5日ではない」という見解の変化
注目すべき点として、たつき諒氏本人が2025年6月に新たな著書『天使の遺言』(文芸社)を出版し、これまでの予言について軌道修正を行っています。同氏は「『私が見た未来 完全版』について結果的に出版社の意向中心で出版されたことに、不本意な思いもありました」と述べ、7月5日の日付について「過去の例から、『こうなのではないか?』と話したことが反映されたようで、私も言った覚えはありますが、急ピッチでの作業で慌てて書かれたようです」と編集部による聞き書きだったことを示唆しています。さらに重要なのは「夢を見た日=何かが起きる日というわけではないのです」と日付の特定を明確に否定したことです。
これにより、予言の根拠となっていた「夢を見た日が現実化する日」という理論そのものが作者によって否定されたことになります。この発言により、7月5日の災害予言の信憑性はさらに低下したと言えるでしょう。
気象庁と専門機関が示す地震予知の科学的見解
気象庁をはじめとする日本の専門機関は、2025年7月5日の地震予言について科学的根拠がないと明確に否定しています。現代の地震学における予知の限界と、なぜこのような予言が科学的に不可能なのかを詳しく解説します。
気象庁の野村竜一長官は2025年6月13日の定例記者会見で、予言について「現在の科学的知見では、日時と場所、大きさを特定した地震予知は不可能。そのような予知の情報はデマと考えられる」と強い調子で否定しました。この発言は、根拠のない災害予言が社会に与える悪影響を懸念した異例の対応でした。専門機関による公式見解は、科学に基づいた正確な情報提供の重要性を改めて示しています。
気象庁長官による「2025年7月5日大地震はデマ」発言の詳細
気象庁の野村竜一長官は2025年6月13日の定例記者会見において、SNSなどで拡散している「2025年7月5日に大地震が日本を襲う」という情報に対して異例とも言える強い否定の見解を示しました。長官は「現在の科学的知見では、日時と場所、大きさを特定した地震予知は不可能。そのような予知の情報はデマと考えられるので心配する必要は一切ない」と明言し、予言を完全に否定しました。さらに「根拠のない情報で振り回されている方々がいるということ自体、残念に思う。見えないことへの不安を抱く気持ちは分かるので、そういった方々に対してはっきりと科学的な観点で『信じないでください』と訴えることが重要だ」と述べ、国民に冷静な対応を求めました。
この発言は気象庁長官としては異例の強い調子でのデマ否定であり、予言が社会に与えている影響の深刻さを物語っています。同時に「一方、日本ではいつどこでも地震が起こる可能性があることから、これを機に日頃から地震への備えの確認をお願いする」と述べ、根拠のない予言ではなく科学的な防災準備の重要性を強調しました。
参考:気象庁長官「デマ心配する必要ない」日本で大地震などのうわさ | NHK | 地震
南海トラフ地震の真の発生確率と予測の現実
南海トラフ地震に関する科学的な予測データを見ると、政府の地震調査委員会は2025年1月に今後30年以内の発生確率を「80%程度」に引き上げています。これは「70~80%」から「80%程度」への変更で、マグニチュード8から9クラスの巨大地震が高い確率で発生することを示しています。しかし、この高い発生確率があっても、現在の科学技術では具体的な発生日時を予測することは不可能です。
地震調査委員会が示す確率は、過去の地震発生パターンや地殻変動のデータに基づく統計的な推定であり、特定の日付を予測するものではありません。南海トラフ地震は歴史的に100年から150年程度の間隔で発生しており、前回の昭和東南海地震(1944年)、昭和南海地震(1946年)から約80年が経過していることから、発生の切迫性が指摘されています。
ただし、地震発生のメカニズムは極めて複雑で、プレートの動きや地殻の応力分布など多くの要因が関係するため、正確な予測は現在の科学技術では困難です。このような科学的事実を理解することで、根拠のない予言と科学的な予測の違いを明確に区別することができます。
災害予言を信じてしまう心理と正しい情報の見極め方
なぜ人々は科学的根拠のない災害予言を信じてしまうのでしょうか。心理学的には、不確実な未来への不安や恐怖が強いときに、具体的な日時を示す予言に安心感を求める傾向があります。これは「確証バイアス」と呼ばれる認知の歪みで、自分の不安や予想を裏付ける情報を重視し、否定する情報を軽視してしまう心理現象です。また、東日本大震災という実際の大災害を経験した日本では、災害への警戒心が高まっており、「もしかしたら本当かもしれない」という心理が働きやすい状況にあります。
正しい情報を見極めるためには、まず情報源の信頼性を確認することが重要です。気象庁、地震調査研究推進本部、大学の地震研究所など、科学的な根拠に基づいて情報を発信している公的機関や研究機関の見解を優先すべきです。また、予言や予測が具体的な日時を特定している場合は、現在の科学技術では不可能であることを理解することが大切です。SNSや一般のウェブサイトで拡散される情報については、その根拠や出典を必ず確認し、複数の信頼できる情報源と照合することで、デマに惑わされることを防ぐことができます。防災意識を高めることは重要ですが、根拠のない予言に基づく過度な不安は避け、科学的事実に基づいた冷静な判断を心がけることが必要です。
大地震・津波発生時の安全な避難場所と備えるべき対策

予言の真偽に関わらず、日本は地震大国として常に大規模災害のリスクを抱えています。南海トラフ地震をはじめとする巨大地震は、いつ発生してもおかしくない状況にあります。
実際に大地震や津波が発生した場合に命を守るための具体的な避難場所の選び方、安全確保の方法、防災グッズの準備について実用的な情報を提供します。災害時に最も重要なのは、事前の準備と正しい知識です。津波からの避難では「より遠くではなく、より高く」が基本原則となり、地震発生時には落下物から身を守ることが最優先です。家庭での防災グッズ準備では、最低3日分の水と食料を中心とした備蓄が推奨されています。
これらの基本的な防災知識を身につけることで、実際の災害発生時に適切な行動を取ることができます。
津波から身を守る避難場所の選び方と優先順位
津波発生時の避難で最も重要なのは、速やかに高い場所に移動することです。津波避難の優先順位は、まず自然の高台、次に津波避難ビル、そして津波避難タワーの順となります。
自然の高台は最も安全な避難場所で、海抜10メートル以上の丘陵地や山地が理想的です。ただし、がけ崩れの危険がある急斜面は避けるべきです。
津波避難ビルは、自治体が指定した3階建て以上の鉄筋コンクリート造建物で、津波の高さを上回る階に避難できる施設です。避難ビルには緊急時に利用可能であることを示すステッカーが貼られており、事前に自宅や職場周辺の避難ビルを確認しておくことが重要です。
津波避難タワーは、高台や避難ビルまでの距離が遠い地域に設置された専用の避難施設で、通常は高さ10メートル以上の構造物です。多くの避難タワーには、震度5以上の地震で自動的に扉が開錠される仕組みが設けられています。
避難場所を選ぶ際の基準として、自宅からの距離と避難にかかる時間を実際に測定しておくことが大切です。津波は地震発生から数分で到達する場合もあるため、徒歩で5分以内に到達できる避難場所を複数確保しておくことが推奨されます。また、避難経路についても、建物の倒壊や道路の陥没を想定して複数のルートを確認しておくべきです。
地震発生時に安全な場所と危険なエリアの見分け方
地震発生時の安全確保では、室内と屋外それぞれの状況に応じた適切な行動が必要です。
室内では、まず机の下などの頑丈な家具の下に身を隠し、頭部を保護することが最優先です。キッチンでは火災の危険があるガスコンロから離れ、ガラス製品や食器棚から距離を取ります。寝室では、ベッドの横に身を寄せて落下物を避け、できるだけ窓ガラスから離れた位置を選びます。最も危険なのはタンスや本棚などの重い家具の近く、照明器具の真下、窓ガラスの近くです。
屋外では、建物から離れた空き地や公園が比較的安全ですが、ブロック塀や自動販売機、電柱などの倒壊の危険がある構造物からは距離を保つ必要があります。高層ビル街では落下物の危険が高いため、丈夫な建物の入り口付近で身を守ります。海岸近くでは津波の危険があるため、揺れが収まったらすぐに高台への避難を開始します。車を運転中の場合は、急ブレーキは避けて徐々に減速し、道路の左側に停車して避難します。高速道路や橋の上では特に注意が必要で、構造物の損傷により通行不可能になる可能性があります。地下街や地下鉄では、パニックによる将棋倒しを避けるため冷静に行動し、係員の指示に従って最寄りの出口から地上に避難します。エレベーター内では、すべての階のボタンを押して最初に止まった階で降り、階段で避難することが重要です。
これらの基本的な安全確保の方法を日頃から家族で確認し、実際の訓練を行うことで、緊急時に適切な判断と行動を取ることができます。
家庭で準備すべき防災グッズと非常用備蓄のリスト
家庭での防災準備において最も重要なのは、最低3日分、できれば1週間分の生活必需品を備蓄することです。
飲料水は1人1日3リットルを基準とし、4人家族なら最低36リットル(3日分)を確保します。ペットボトルの水は定期的に交換し、災害用の長期保存水を利用するのも効果的です。
非常食としては、アルファ米、カップ麺、缶詰、レトルト食品、乾パン、カロリーメイトなどの栄養バランスと保存期間を考慮した食品を選びます。調理不要で食べられるものを中心とし、カセットコンロとガスボンベがあれば温かい食事も可能です。
救急用品では、ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬、体温計、マスク、使い捨て手袋を基本セットとします。持病のある方は処方薬を多めに確保し、お薬手帳のコピーも準備します。
衛生用品として、トイレットペーパー、ティッシュ、ウェットティッシュ、生理用品、おむつ(必要に応じて)、歯ブラシ、石鹸を用意します。簡易トイレは特に重要で、災害時には上下水道が使用できなくなる可能性が高いためです。
照明・通信機器では、懐中電灯(LEDタイプ推奨)、乾電池、ラジオ、携帯電話の充電器、モバイルバッテリーが必需品です。手回し充電式のラジオや懐中電灯があると電池切れの心配がありません。
防寒・雨具として、毛布、寝袋、レインコート、軍手、使い捨てカイロを準備します。アルミ製の保温シートは軽量で場所を取らず、体温保持に効果的です。
参考:東京:首都直下地震・南海トラフ地震などの大地震や大災害で生き延びるたった一つの方法!誰も知らない現実と対策!|Sophy Style
ハザードマップの活用方法と避難経路の事前確認
ハザードマップは災害時の被害予測と避難情報を示した重要な防災ツールです。まず、自治体のホームページや国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」から自分の住んでいる地域のハザードマップを入手します。
地震ハザードマップでは震度分布、液状化危険度、建物倒壊危険度が色分けされており、自宅の災害リスクを具体的に把握できます。
津波ハザードマップでは浸水想定区域と浸水深、到達時間が示されており、津波避難が必要かどうかを判断できます。
洪水ハザードマップでは河川氾濫時の浸水想定区域が示されており、台風や大雨時の避難の参考になります。
土砂災害ハザードマップでは土砂災害警戒区域が明示されており、がけ崩れや地すべりの危険性を確認できます。
ハザードマップで自宅の位置を確認したら、指定避難所と指定緊急避難場所を地図上で特定します。指定避難所は災害時に一定期間生活できる施設で、指定緊急避難場所は災害の危険から命を守るために緊急的に避難する場所です。避難経路は複数設定し、実際に歩いて所要時間と危険箇所を確認します。夜間や悪天候時の避難も想定し、街灯の位置や足元の安全性もチェックします。避難経路上のブロック塀、看板、自動販売機など倒壊の危険がある構造物も確認し、迂回ルートを設定します。
家族全員でハザードマップを確認し、災害種別ごとの避難先と避難経路を共有することで、いざという時に迅速で安全な避難が可能になります。
家族との連絡手段と集合場所の決め方
災害時には通常の通信手段が使用できなくなる可能性があります。家族との連絡方法を事前に複数確立しておくことが重要です。
NTTの災害用伝言ダイヤル「171」は、被災地の電話番号をキーとして安否情報を録音・再生できるサービスです。使用方法を家族全員で確認し、定期的に体験利用してみることをお勧めします。携帯電話各社が提供する災害用伝言板サービスも有効で、インターネット経由で安否情報を登録・確認できます。SNSのLINE、Twitter、Facebookなども災害時の連絡手段として活用できますが、通信回線の混雑により使用できない場合もあります。
家族が離ればなれになった場合の集合場所を決めておくことも重要です。第一集合場所は自宅近くの公園や学校など、第二集合場所は少し離れた避難所や親戚宅など、段階的に設定します。職場や学校にいる時間が長い家族については、それぞれの場所からの避難先と連絡方法も確認しておきます。
遠方の親戚や友人を経由した連絡方法も有効で、被災地以外の人を介することで連絡が取りやすくなる場合があります。緊急連絡先リストを作成し、家族全員が携帯できるよう財布やスマートフォンケースに入れておきます。子どもがいる家族では、学校や保育園の災害時対応マニュアルを確認し、引き取り方法や連絡体制を把握しておくことも必要です。ペットを飼っている場合は、ペット同伴避難が可能な避難所を確認し、ペット用の防災グッズも準備します。
参考:災害用伝言ダイヤル(171) | 災害対策 | 企業情報 | NTT東日本
まとめ|2025年7月5日予言への冷静な対応と継続的な災害備えの重要性
たつき諒氏による2025年7月5日の大災害予言について、気象庁は科学的根拠がないと明確に否定し、作者本人も「7月5日は何かが起きる日ではない」と軌道修正しています。現在の科学技術では地震の日時を特定して予知することは不可能であり、このような予言はデマとして扱われるべきです。
しかし、日本は地震大国であり、南海トラフ地震の30年以内発生確率は80%程度と非常に高く、大規模災害はいつ発生してもおかしくありません。重要なのは根拠のない予言に惑わされることなく、科学的事実に基づいた継続的な防災準備を行うことです。津波避難では高台や避難タワーへの迅速な移動、地震時には落下物からの身の安全確保、そして3日分以上の水・食料を中心とした防災グッズの準備が命を守る基本となります。