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『ドグラマグラ』を読むと精神に異常はなぜ?夢野久作の三大奇書の噂を解明!

夢野久作が遺した日本三大奇書の一冊、『ドグラマグラ』。この本を読んではいけない、読むと精神に異常をきたす、本当に狂うといった感想や話を耳にしたことはありませんか。なぜそのような噂が広まっているのか、その理由が気になる方も多いでしょう。

この記事では、『ドグラマグラ』で精神に異常をきたすと言われるのはなぜか、その真相を徹底的に解説します。読み進めることで、作品にまつわる謎が解き明かされていきます。

この記事でわかること

  • 「精神に異常をきたす」という噂が広まった背景
  • 作品に仕掛けられた読者を混乱させる文学的構造
  • 日本三大奇書と呼ばれる理由とその特異な内容
  • 噂の信憑性と実際の読後感に関する多角的な視点

『ドグラマグラ』で精神に異常はなぜ?噂の真相

『ドグラマグラ』を読むと精神に異常はなぜ?夢野久作の三大奇書の噂を解明!
  • 読むと本当に精神に異常をきたすのか
  • 日本三大奇書『ドグラマグラ』とは
  • 「狂う」という話の出所は宣伝コピー
  • 横溝正史も読んであるいは狂う感想

読むと本当に精神に異常をきたすのか

『ドグラマグラ』を読むと精神に異常をきたす、という噂についてですが、医学的・科学的な根拠から本を読んだだけで精神疾患を発症するという直接的な因果関係は証明されていません。しかし、このように言われるのには、単なる都市伝説では片付けられない複数の理由が存在します。

実際、多くの読者が読後に「頭が混乱した」「世界が揺らぐような感覚に陥った」「気分が悪くなった」といった特異な体験を報告しています。これは、作品自体が読者の認識や常識を根底から揺さぶるように、意図的に設計されているためと考えられます。

したがって、この噂は、作品の持つ強力な影響力を比喩的に表現した言葉として広まったものと捉えるのが妥当でしょう。この記事では、なぜ多くの人が「精神に異常をきたす」とまで感じるのか、その具体的な要因を掘り下げていきます。

日本三大奇書『ドグラマグラ』とは

『ドグラマグラ』は、作家・夢野久作が構想・執筆に10年以上の歳月を費やし、1935年に発表した探偵小説です。この作品は、小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』、中井英夫の『虚無への供物』と並び、「日本三大奇書」の一冊として知られています。

三大奇書と呼ばれる理由は、いずれの作品も従来の推理小説の枠を大きく超えた、極めて独創的で難解な内容を持つためです。特に『ドグラマグラ』は、アンチ・ミステリーの代表格とされ、単純な犯人当ての物語ではありません。物語は、記憶を失った主人公が精神科の病棟で目覚めるところから始まります。彼は自分が誰なのか、なぜここにいるのかを探求する中で、不可解な事件や複雑な人間関係、そして奇怪な学術論文に巻き込まれていきます。

この複雑怪奇な設定と、読者の常識を覆す物語展開が、『ドグラマグラ』を文学史上でも特異な位置に置く要因となっています。

「狂う」という話の出所は宣伝コピー

「読むと狂う」という噂がこれほどまでに広く知られるようになった最大の要因は、1976年に刊行された角川文庫版の帯に記された宣伝コピーにあると考えられます。

当時の帯には「これを読了した者は、数時間以内に、一度は精神に異常を来たす」という、非常に衝撃的な文言が印刷されていました。(出典:BOOKOFFオンライン)このキャッチコピーは読者の好奇心を強く刺激し、作品のミステリアスなイメージを決定づけることに成功したのです。

この宣伝文句は非常に効果的であり、現在流通している角川文庫版の裏表紙にも「これを読む者は一度は精神に異常をきたすと伝えられる」という形で引き継がれています。メディアや個人の感想で繰り返し引用されることで、このコピーは単なる宣伝文句を超え、作品を象徴する都市伝説として定着しました。これは、出版社の優れたマーケティング戦略の一例と言えるでしょう。

横溝正史も読んで暴れた?

出版社の宣伝コピーに加え、噂に権威と信憑性を与えたのが、著名な推理作家・横溝正史のエピソードです。

横溝正史は1977年に行われた小林信彦との対談の中で、『ドグラマグラ』を読み返した際の体験について語っています。その内容は、「気分がヘンになり夜中に暴れた」という衝撃的なものでした。

推理小説界の大家によるこの証言は、単なる噂話に大きな説得力を持たせることになりました。特に、この発言が角川文庫版の刊行時期と近かったこともあり、「あの横溝正史でさえも影響を受けるほどの作品」として、その異常性が広く認識されるきっかけとなったのです。専門家による実体験として語られたこのエピソードは、「精神に異常をきたす」という言説を補強する重要な役割を果たしました。

ドグラマグラで精神に異常はなぜ?作品の仕掛け

ドグラマグラで精神に異常はなぜ?作品の仕掛け
  • 夢野久作が仕掛けた物語の構造
  • 読者を混乱させる本の内容と構成
  • 精神を揺さぶる異常な疑似科学
  • 読み進められない難解な世界観
  • 『ドグラマグラ』に関するQ&A
  • まとめ:ドグラマグラで精神に異常、はなぜ?

夢野久作が仕掛けた物語の構造

『ドグラマグラ』が読者の精神を揺さぶる本質的な理由は、その巧みで悪夢のような物語構造にあります。この小説の特筆すべき点は、物語の中に同じ『ドグラマグラ』というタイトルの書物が登場する「メタフィクション構造」です。

主人公は物語の進行中に、自分自身が巻き込まれている事件の真相を解き明かす鍵として、一冊の書物『ドグラマグラ』を読み進めます。つまり、読者は「主人公が『ドグラマグラ』を読む様子」を読むという、入れ子状の体験をさせられることになります。

この構造により、読者は自分が読んでいる物語の世界と、作中の人物が読んでいる物語の世界との境界が曖昧になっていきます。どこまでが客観的な現実で、どこからが作中作の記述なのかが分からなくなり、自分が物語のどの階層にいるのかを見失ってしまうのです。このような構造は、読者に現実感覚を失わせ、眩暈のような混乱を引き起こす強力な装置として機能しています。

読者を混乱させる本の内容と構成

前述の通り、メタフィクション構造に加え、作品の内容と構成そのものも読者を混乱させるように作られています。

記憶喪失の主人公

物語は、記憶を完全に失った主人公の視点で進みます。読者は主人公と一体化し、彼と同じように断片的な情報しか与えられないまま、手探りで真実を探求することを強いられます。自分が誰で、過去に何をしたのかさえ分からない主人公の不安定な精神状態は、そのまま読者の不安感や混乱に直結するのです。

非線形な物語展開

物語は単純な時系列に沿って進みません。過去の事件に関する膨大な手記、学術論文、新聞記事などが脈絡なく挿入され、時間は頻繁に行き来します。この非線形な構成は、読者が物語の全体像を把握することを極めて困難にし、まるで迷宮に迷い込んだかのような感覚を与えます。

これらの要素が複雑に絡み合うことで、読者は論理的な思考を放棄せざるを得ない状況に追い込まれ、これが「頭がおかしくなる」という読後感につながっていきます。

精神を揺さぶる異常な疑似科学

作品の中心的なテーマとして、読者の常識や倫理観を根底から覆すような、説得力のある「疑似科学」理論が展開されます。作中に登場する正木博士や若林博士は、精神医学や遺伝学に関する独自の学説を長々と語ります。

その中でも特に有名なのが、「脳髄は物を考える処に非ず」という衝撃的な命題です。この説では、脳は単なる思考の交換局に過ぎず、本当の思考や記憶は全身の細胞に宿っており、それは先祖代々受け継がれていく「精神遺伝」によって決定される、と主張されます。

この理論によれば、個人の思考や犯罪行為は本人の自由意志によるものではなく、遠い祖先の因縁が現代に甦った結果である、ということになります。このような、科学的な体裁をとりながらも常識から逸脱した理論に繰り返し触れることで、読者は「自分とは何か」「正常と異常の境界はどこにあるのか」という根源的な問いを突き付けられ、精神的な安定を失っていくのです。

読み進められない難解な世界観

『ドグラマグラ』が「精神に異常をきたす」と言われるもう一つの側面は、その圧倒的な読みにくさと難解さにあります。多くの読者が、内容を完全に理解する以前に、読了すること自体を断念してしまうほどです。

例えば、作中には「チャカポコ、チャカポコ」という擬音語が延々と繰り返されるだけで、意味を成さない章が存在します。また、膨大な量の学術論文や手記は、その内容の奇怪さもさることながら、単純に文章量が多く、読者の集中力を削いでいきます。夢野久作の独特で幻惑的な文体も、読者が物語に没入するのを妨げる一因となります。

この読了の困難さが、「読み切った者は精神的に強靭か、あるいは異常をきたすかどちらかだ」というような神話を生み出す土壌となりました。実際に読了した人々からは、「達成感はすごかったが、理解度は20%以下かもしれない」といった感想も多く聞かれます。この「分からなさ」こそが、作品の不気味さを増幅させているのです。

『ドグラマグラ』に関するQ&A

ここでは、『ドグラマグラ』に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

簡単なあらすじを教えてください

九州大学医学部精神科の病棟で、記憶を失った一人の青年が目を覚まします。彼は自分が誰なのか、なぜここにいるのか全く分かりません。二人の博士から、彼は過去に起きた複数の不可解な事件の重要人物だと告げられます。彼は失われた記憶を取り戻すため、そして自分自身の正体を探るために、博士たちの説明や膨大な資料、そして『ドグラマグラ』と題された書物を読み解いていく、という物語です。

映画化はされていますか?

はい、1988年に松本俊夫監督によって映画化されています。原作の複雑な世界観を映像で表現しようとした意欲作として知られていますが、内容は非常に難解で、評価は賛否両論に分かれています。原作とは異なる解釈も含まれているため、まずは小説から読むことをお勧めします。

読むのにどれくらいの時間がかかりますか?

文庫本で約700ページ以上あり、内容も非常に難解なため、読書スピードには個人差が大きいです。速い人であれば数日で読了しますが、多くの人は数週間から数ヶ月かかることも珍しくありません。途中で挫折する人も多いことで知られています。まずは腰を据えてじっくりと取り組む心構えが大切です。

まとめ:ドグラマグラで精神に異常はなぜ?

この記事では、『ドグラマグラ』を読むと精神に異常をきたすと言われるのはなぜか、その理由を多角的に解説しました。最後に、記事の重要なポイントをまとめます。

  • 『ドグラマグラ』で精神に異常をきたすという話に直接的な医学的根拠はない
  • この噂は作品の持つ強力な影響力を比喩的に表現した言葉である
  • 噂が広まった最大の要因は角川文庫版の「一度は精神に異常を来たす」という宣伝コピー
  • 推理作家・横溝正史が「気分がヘンになり夜中に暴れた」と語ったことで噂に権威性が増した
  • 物語の中に同名の書物が登場する「メタフィクション構造」が読者を混乱させる
  • 読者は主人公と一緒に物語を読む「入れ子構造」により現実感覚を失う
  • 記憶喪失の主人公の視点で進むため、読者も同様の不安感に襲われる
  • 時系列がバラバラな「非線形な物語展開」が全体像の把握を困難にする
  • 「脳髄は物を考える処に非ず」という疑似科学理論が読者の常識を揺さぶる
  • 人間の思考や行動は祖先の因縁に支配されるという「精神遺伝」の概念が提示される
  • 正常と異常の境界線を曖昧にし、読者自身のアイデンティティを問い直させる
  • 「チャカポコ」に代表される意味不明な章など、圧倒的な読みにくさも特徴
  • 膨大な文章量と難解さから、読了すること自体が非常に困難
  • これらの外部要因と内部要因が複合的に絡み合い、「読むと狂う」という伝説が形成された
  • 作品は単なる奇書ではなく、文学的に計算され尽くした装置と言える

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ひかる

ひかる

都市伝説や不思議な話に魅了されてきたウェブライター。 大学で心理学を学び、人の“怖いもの見たさ”の心理を研究。 日常に潜むちょっと不思議な物語を、わかりやすく紹介しています。

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